電気主任技術者の高齢化による人材不足の中、電力事業者がスマート保安を導入する必要性が高まっています。今後、新たな技術を活用した保安力の維持・向上が必要不可欠です。当社では、これまで関西圏における保安管理業務を行っていましたが、保安業界の情勢を踏まえ、関東圏においても保安管理事業の立ち上げを行い、AIやIoTの新技術の導入によって事故防止のための予兆管理だけでなく、品質安定・生産性の向上を目指しています。また、スマート保安を支える次世代育成にも注力しています。
岩永 現在、関東を軸に電気設備の保安管理事業の立ち上げを行っています。電気設備の保安業務を担っている電気主任技術者は現在の状況で推移すると、将来的に大幅に不足すると予測されています。特に経験値の高い電気主任技術者の採用は困難を極めていますよね。人材不足が深刻化する中で、当社は経験の浅い若手の電気主任技術者の採用を強化し、将来のスマート保安技術を支える人材を育成しながら事業の立ち上げを目指しています。
中村 人材育成のみならず、スマート保安の実現に向けて、2019年にSalesforceのクラウド環境下で保安管理システムをリリースしました。iPadを利用したペーパーレスの保安点検、経済産業省提出書類の自動出力、漏電監視システム等を盛り込み、顧客管理システムと一体化した仕組みを構築し、業務の効率化・高度化を実現しています。実務に関わる中で、非常に将来性の高い世界であることを実感していますね!
日高 業務効率化、顧客サービス向上はもとより、レガシーとされてきた電気設備の保安管理の世界にIoTの活用でさらなるイノベーションが期待できますよね。ゼロから仕組みを創り上げるような取り組みがほとんどですが、時短勤務のワーママも事業企画に中心となって携われるなんて非常に面白いと思いませんか?男性やシニアといったイメージの強い世界ですが、活躍人材にもイノベーションが起きていると言えます。
岩永 やはり事業立ち上げに伴い、人材は必要なのですが、人が集まらない課題は大きいと感じています。若手の電気主任技術者を現場に連れて行っても、教育はもちろん時間がかかるものなので、本来やるべき仕事の時間配分が短くなりますね。ですが、何よりのやりがいは後輩が育っていくこと。若い社員が育つことが一番楽しいです。中村は入社2年目で、私の息子くらいなんですよ。でも、入社時期は同じで同期でもあるんです!(笑)
中村 同期とは恐れ多い・・・。(笑)電気主任技術者は高齢者がほとんどです。Z世代である自分が、ITに馴染みのない世代の方々とコミュニケーションを取る中でも、上手くいかないことも多いです。そうした高齢者にもITの便利さや、保安管理の世界に革新的な解決をもたらすということを理解してもらう必要があるという課題も感じています。一方で、事業立ち上げということもあり、業務プロセスを一つ一つ思考しながら創っていく楽しさも感じていますね。岩永さんの背中を見ながら、電気主任技術者のマネジメントも強化していきたいです。
岩永 20代前半で、マネジメントの仕事ができるなんて素晴らしいですよ。人に頼られる仕事ができるなんて大したもんです!
岩永 将来的には、人間の五感を数値化・デジタル化して、人間がいなくても保安管理が行えるようにしたいですね!毎月、ただ点検をしているだけでなく、設備状態が悪化していないか、数値と電気主任技術者の感覚的なスキル両面で確認している現状。数値だけでなく、人間の五感を使っているんです。そのため、異常を発見する技術者のスキルを数値化し、カメラ・マイク・スピーカー・温度計等を組み合わせセンサーとして電気室に設置し、環境を監視できればスマートな保安管理の実現も夢ではありません。
日高 面白いですね!一般的に五感は男性よりも女性の方が敏感と言われていますし、センサーの仕組みを構築するうえでは女性の感覚は無くてはならないものなのではないでしょうか?これまで保安管理業務は危険を伴うものであり、妊娠・出産などライフイベントを迎えた女性にとっては働きにくい環境でしたので、このような取り組みが発展すれば女性が活躍できる環境が広がると感じています。